土釜は、貞光川一宇渓谷を代表する名所一つ。 青石と呼ばれる硬い緑色片岩の岩層が、長い歳月をかけて川の流れに洗われ、川の浸食作用で川底のもろい岩屑が削られ、また磨かれて大きくなったもので、ホットポール(甌穴)とも呼ばれる。 幅2メートルほどの清流が堰き止められて3段の滝になり、高低差7メートルを落下する。 せまい釜の形をした滝つぼには白波が渦巻き、それが岩盤の底をえぐるようにして、一の釜、二の釜、三の釜と連なって水流が下り落ちる天然の水門は、まさに圧倒される奇観。 滝の両岸には、かし、かえで、もみじの古木が密生し、薄暗い谷底に幽幻の気を漂わせている。